ホビヲの読書感想文

ホビヲが読んだ本を記録していきます。

『コンビニ人間』村田沙耶香

生きる意味に正解なんてない。誰が何と言おうが、世間一般の常識からかけ離れても、自分が納得すればそれが正解なのだ。そうは思うが、「当たり前の選択」をしないと後ろ指刺されるが世の常。どのコミュニティでも異物は敬遠され、周囲を不安にさせる。

本書の主人公がまさにそれ。ASD気味の彼女には常識が通用しない。就職、恋愛、家庭を求めず、しかしながら社会に折り合いをつけて平穏無事に生きたいと願う。天職であるコンビニバイトは、本当にそれでいいの?と周囲を不安にさせる。

トラブルメイカー羽村の登場により、彼女は世間一般の側へ行こうとする。もし、そのままフルタイムの職に就いていたら中盤に登場した「店員のような客」になっていたはず。生きる意味を見つけた彼女に、拍手を送るべきなのだろう。しかし、世間一般の側にいる(であろう)自分には、ハッピーエンドなのかはわからなかった。そもそも、生きる意味って何だろう。正解がほしい。

「お父さん、焼き鳥好きだから、今日、これを焼いて食べよう」(P.8)