閉校が決まった女子大。単位が足りない学生を留年させるわけにはいかず、半年の期間限定で合宿をすることに。そこで不足の単位を補ってみんな無事卒業させようという目論見。しかし、集まったのは心にトラブルを抱え、生きづらさを感じている者たち。各章で彼女たちそれぞれのドラマが描かれる。
LGBTQや過食症・拒食症、リストカットなど日ごろ縁遠いと思っていたテーマが身近となる。生きづらさを感じている人にとってはきっと救いの一冊となるはず。自身も無理解により誰かを傷つけていないか、配慮に欠けた言動をしていないかとわが身を振り返る。
それぞれのテーマは重いのに小説としての面白さが尋常でない。物語の構成が絶妙で読んでいると「えええええ?????」となるシーンが何度もあった。著者の術中にはまりまくり、ドラマチックな展開にページをめくる手が止まらない。読後感も見事で、「一万円選書」で最もおすすめされてきた一冊との評に納得。
たいへんご無沙汰いたしております。少しばかり体調を崩しておりましたが、どうぞご心配いただきませんように。健康に楽しく過ごしております。寺田家の皆様には、本当に良くしていただいており、私は幸せ者でございます。(P.262)